シュウ酸カルシウム

無水シュウ酸カルシウムは無色等軸晶系の粉末である。  加熱すると、炭酸カルシウムと一酸化炭素に分解する。   吸湿性で、空気中の水分を吸収して一水和物になりやすい。  無水物と一水和物、三水和物などが存在する。   一水和物は200 ℃で脱水し無水物となる。  水に難溶性で、アルカリ土類金属塩のなかで最も溶解度が小さく、13℃での水への溶解度 は0.67 mg /100 mlである。

 CAS 番号  5794-28-5 (一水和物), 25454-23-3 (無水物)
 毒物及び劇物取締法  劇     物
 分 子 式  Ca(COO)2
 分 子 量  128.097
 密     度  2.12 g/cm3

サトイモ科の植物、特にディフェンバキア属、フィロデンドロン属やテンナンショウ属の植物にはシュウ酸カルシウムが多く含まる。   これらは、誤食により消化器系の中毒を引き起こすばかりでなく、汁に触れることにより接触刺激性の中毒を引き起こすこともあり、注意が必要である。

多くの植物は代謝最終産物であり有害なシュウ酸を、カルシウム塩として不溶性にし無害化している。   水和の数は植物により異なり、その数と共存物質および物理的環境によりシュウ酸カルシウムの結晶形が異なってくる。   結晶の形態は六角形板状、八面体、針状、四角錐、菱形、プリズム状と多岐にわたる。

サトイモ科の植物等は、長い針状晶の束を含有する。   これらを誤食したとき、そしゃくによりその細胞が破壊され、結晶が物理的に粘膜に損傷を与え痛みや浮腫など中毒症状を発現する。   また、これらの結晶にはタンパク分解酵素や起炎物質が付着していることも多く、中毒症状を複雑かつ重篤にしている。

シュウ酸は人においても代謝の最終産物である。 尿路に通過障害や変形があると、尿流の停滞を招き、結石を生じやすくなる。   尿路結石は構成成分によって分類されるが、その80 %はカルシウム結石(シュウ酸カルシウム結石、リン酸カルシウム結石)である。   その他、高尿酸血症(痛風)に起因する尿酸結石、尿路感染に起因するリン酸マグネシウムアンモニウム結石および遺伝性に発生するシスチン結石などがある。   代謝産物のシュウ酸は尿路結石の要因であるが、実際には70 %が外因性、すなわち食事由来のシュウ酸であるといわれている。   葉菜類、お茶類、タケノコ、バナナ、チョコレート、ピーナッツおよびアーモンドなどには、シュウ酸が比較的多く含まれ、その要因となり得る。   ほうれん草など葉菜類は大量摂取は避けた方がよいが、その一方で、栄養価の高いものも多いので摂取法を工夫することが好ましい。   たとえば、ほうれん草は100 gあたり800 mgのシュウ酸を含有するが、ゆでることで、40 %から50 %シュウ酸は除去されるといわれている。   また、カルシウムを一緒に摂ることにより、腸管よりのシュウ酸の吸収を減少させることができる。