ユキモチソウ (雪餅草)

ユキモチソウはテンナンショウ属に属し、雌雄偽異株という性質を有する多年生植物である。   草丈は25 cmから50 cm程度に、時として1 m位になる。 2年周期で仮軸分枝型に成長する。   日本固有種で、本州の一部と四国のみに生育する。  四国が主な生育地であることにちなみ、その種小名はsikokianumである。

ユキモチソウは豊富な水分と弱い光を好む植物で、直射日光のあまり当たらない樹林下が生育地として適している。   ユキモチソウはこの光環境にうまく適応しており、必要な光合成を行っている。   従って、真夏の直射日光の下にさらされると、光エネルギーは過剰となり活性酸素を発生し、葉緑素を分解したり遺伝子に傷を与えたりして、組織にダメージを与えてしまう。   また、森林の茂った葉は、ユキモチソウの花を強い雨から守っている。   強い雨が直接降り注ぐと、仏炎苞がこれを集めてしまい、花がダメージを受けてしまう。

ユキモチソウは4月の上旬頃、萌芽し葉を展開する。  栄養相にある間は、小葉3枚からなる葉1枚をを展開し、成熟相に入ると、3枚もしくは5枚の小葉よりなる葉2枚を展開する。   その後、4月中旬から下旬にかけ開花する。

2枚の葉は、葉柄は半ばくらいまでが花茎を包み偽茎を形成し、その後小葉を展開する。   この偽茎は、6枚の鞘葉を伴うが、開花時には何枚かは薄膜化し脱落していることもある。

ユキモチソウは、サトイモ科特有の1枚の仏炎苞を有する肉穂花序を形成する。   花序には通常雌雄どちらかの小花のみを着ける。  花は仏炎苞に囲まれているため、通常外からは見えない。   花柄は雄株の方が雌株より長い。  雄花は葯の色より紫であり、雌花は淡緑色である。   苞は長さ7 cmから12 cm程度で、外面が白い筋のある濃紫色、立ち上がった部分の内面は緑色で白い筋を有し、口辺部から下部の内側は白色である。   花穂の付属体は白く先端は丸く膨らんでいる。  付属体が純白の偏球形であることをとらえ、雪のように白い餅にたとえ、ユキモチソウの名がついている。

秋にはマムシグサに似た集合果を着ける。  実は当初濃緑色であるが、11月下旬から12月にかけて徐々に退色し、1月には鮮やかな橙赤色になる。   また結実後花序軸は黒色に変化する。 おのおのの果実には8個程度までの種が含まれる。

ユキモチソウは雌雄異株であるが、テンナンショウ属の特徴で、雄株と雌株が遺伝子的に決定されるのではなく、植物の大きさによって性転換を行う。   植物体が小さいときは、栄養相にあって葉や茎など栄養器官のみを分化、形成しており、無性である。   その後、植物体がある程度成長し大きくなると成熟相に入り雄花を形成し、さらに大きくなれば雌花を形成する。   雌株になったとき、葉の総面積も大きく光合成による生成物も多く得られ、開花、結実に有利となる。 一方、雌株となるためには多くのエネルギーを要し、雌株になるものは雄株の数分の一程度である。

ユキモチソウは果実や球茎にサポニンシュウ酸カルシウムを含有し有毒である。   短いトウモロコシ状の実を付け、橙赤色に熟すので誤食しないよう注意が必要がある。

近年、生育地である里山の減少や園芸目的の採取が深刻であり、近い将来における絶滅の危険性が高い種(絶滅危惧1B類(EN))となっている。

分 類: サトイモ科テンナンショウ属
学 名: Arisaema sikokianum Franch. & Sav.
和 名: ユキモチソウ(雪餅草)
英 名: ---
原 産: 四国と本州の一部
生活型: 多年生植物
RDB : 絶滅危惧1B類(EN)
植栽場所:合掌線
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